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2016/07/20 00:32

 子供の頃からお菓子が嫌いでした。

お饅頭を二つも食べる姉を、半分で充分な私は驚くばかりでした。

大人になっても羊羹と最中ぐらいで、カフェのスイーツよりもビール。

そのわたしがいま、お菓子の虜になっているのです。

10日ほど前の、小雨の午後、出かけて行ったお菓子工房でのお菓子との出合い。

味のセンスがちょうどぴったりだったのか、

その美味しさに静かな感動が生まれたのです。


中里公一さんのつくるチョコレートの美味しさ。

たとえばナッツをチョコレートで包んだお菓子、

これまで経験のないナッツの香ばしさ。

例えばトリフの割れる瞬時のとろり感。


例えば手作りジャム。

味のセンスとしか言いようのない、

微妙なある一点で留めた甘味と果実の生の感蝕。

その技術を舌で味わう幸福感。

それを「癒し」と解釈したわたしだったが、

Sくんは「お菓子の幸福」と言った。